妄想解釈 超時空要塞マクロス

#02 トーク


「艦長、グエント議員から緊急連絡が入っていますが」
とシャミーの声がブリッジに響く。
「繫いでくれ」
『艦長、戦闘状態に入ったと聞いたが本当かね』
「はい、統合宇宙軍司令部の判断により軌道上での戦闘が開始され、こちらでも降下物体へ迎撃を行っております」
『なんだと。なんとしてでも交渉しなければならん、すぐに首都に戻らなければ。ここを出るから援護部隊を用意しろ』
「今しばらくはシェルター内で待機を」
『シェルターで待機している間に、最悪の事態を迎えたらどうする。そもそもマクロスは戦闘をしないという前提で話が進んでいるんだ。その艦が戦闘するとなると、政府内部への説明がつかん。軍人どもが勝手に、急ぎ政府へ戻らんと。15分以内に専用機で出る。それまでに援護部隊を用意しろ』
と通信が切れる。クローディアが
「ずいぶんと勝手な言い様だこと。どうします艦長」
「指示に従う義務はあるだろう。キム君、議員団の状況は」
「シェルターに入らず専用機の離陸準備を進めてます」
「となると上空の敵が問題か。早瀬君、反応弾を用意してくれ」
とヴァネッサが
「反応弾を使用するとレーダーに影響しますが」
「仕方あるまい。ヴァネッサ君、古森君と二人で注視してくれ」
「バルキリー隊で相手を撹乱させながら、確実とするため挟み込みで2発使用します」
と未沙。
「詳細は任せる。大橋君は、援護部隊を編成し専用機が離陸できるよう準備してくれ」
「了解」
と二人が答える。

「ブリタイ司令、青い風を降下させます。支援をお願いします」
「わかった」

「ったあ。なんだよ、いきなり」
とコクピットの中で輝が呟く。ガウォークに変形してゆっくりと進入してくるVT-101。
「輝くん、大丈夫か? ケガしてないか?」
「まあなんとか」
「それは良かった。前面のモニタに何が表示されている?」
「エラーの文字がいっぱい」
「動かすのは危険そうだな。周囲を確認するからそのまま少し待っていてくれ」
ガウォークのVT-101が着地し、キャノピーを上げ三池が少女に声をかける。
「すみません、危ないので少し離れていてください」
「はい、わかりました」
と言ってミンメイが墜落現場から少し離れ止まる。それを見届けるとVT-101は離陸してファイターモードとなったVT-102に向かう。そのまま両腕でVT-102を持ち上げる準備をする。
「持ち上げるから揺れると思うが我慢してくれ」
と言ってからVT-102を持ち上げ地上へ丁寧に仰向けで置く。
「これで外へ出れるので、メンテナンスキーをMの位置にセットしてキーを抜くと外部ボタンが表示されるので、それでいい」
と言っているうちに輝がVT-102から出てくる。
「ふう」
と一息ついた輝がガウォークとなったVT-101を見る。
「なんすか、そのできそこない」
着地すると外部スピーカーから
「関係者が泣きたくなるような言葉だな。悪態をつけるようなら大丈夫だな、輝くん。きれいなループが出来ても、いきなりの攻撃に対応するのは難しいか」
とその会話を聞いて、ミンメイが
「輝? 輝って?」
と2機に近寄ってくる。輝が気付き
「そっちこそ、ミンメイ」
「輝だあ。避難してたんだけど、衣装を忘れて取りに戻ったの。それより輝は学生から軍人さんになったの?」
「冗談、誰が軍人なんかに」
「輝くん、お知り合い?」
「ミス・マクロスになったミンメイです」
「ああ、輝くんが応援していた」
機首を下げ、キャノピーを開けて三池が声をかける。
「三池です、ミンメイさん」
「よろしく三池さん。ミンメイです。下のお名前は?」
「和史ですが」
「どっちで呼びましょうか」
三池が降りると、VT-101のサバイバルスペースを開け飲食物を取り出し
「お好きなように。二人とも食べて落ち着いてくれ」
と輝に渡す。
「どうするんですか」
「3人だと2機必要だから修理するしかないな。それに放置したらあの航空管制から何を言われるか」
「泥棒したんですか?」
「誰が」
「だってねえ」
という会話を聞き流して三池がVT-102のチェックを始める。
「そういえばミンメイ、ミス・マクロスおめでとう」
「ありがとう輝。ミス・マクロスになったんだけど、こんなことになるなんて。そういえば伯父さん伯母さん、大丈夫かなあ」
「シェルターに避難していればいいけど」
と安心させてくれない輝にミンメイも言葉がなく空気が重くなり二人でクラッカーを食べる。
「なんとかなりそうだ。どうした」
「いえ」
「はーん、輝くん。こういうときは盛り上がるようなことを言わないと。大丈夫ですよ、ミンメイさん。この様子からすると避難は完了しているようですよ」
「そうですか、みんな大丈夫だといいなあ」
「どうだか、民間人なのに巻き込またし」
と輝が愚痴ると、ミンメイの表情が曇る。
「パイロットスーツを着てたのが不運だったな。でも生きているんだ、生きてる限り夢に向かって小さな目標へ行動し続ける」
「良い言葉ですね」
「ありがとう、ミンメイさん。信じていれば言葉も力になるから」
「素敵。あっ、ミンメイって呼び捨てでいいですよ」
「輝くん、ぼっとしていないで周囲を警戒して」
「輝でいいですよ」
ふてくされたように輝が言い、三池はVT-101に乗り修理を開始する。

「クローディア君、マクロスの浮上試験を」
「今ですか?」
「より状況が厳しくなるかもしれないのだ、早いうちに試しておく方がいい」
「キム、各セクションに浮上に向けての最終準備を」
と艦長とクローディアが指示を出す。
「やだ宇宙に出ちゃうの?」
「単位のために乗っただけなのに」
とシャミーとこずえが会話する。指示の合間にキムが
「あんた達、昨日までは宇宙に行きたいって言ってたじゃない」
「それはそうだけど」
とシャミーが不満そうに答える。
「全機出払っていて護衛部隊の編成に時間がかかってます」
「予備機もないのかね」
「はい、展示機も含めて上空待機させてしまいました」
と恭子が状況の連絡をする。そのとき
「バルキリー各機は敵の注意を引きつつも距離を取ってください。3番機、もう少し離れてください」
と未沙が指示する。

「どうやら小さい相手のようだな」
とブリタイが中継を見て感想を述べる。ヨーグインが
「比較が難しいですが、おそらくは。記録参謀は」
とエキセドルに確認する。
「いや、記憶にありません」
「またもか。ヨーグイン、撮影しておけ」
と2つの物体が接近し映像が途切れる。ヨーグインが確認のため操作をするが
「通信が切れ、反応なくなりました。付近が異常となり詳細が確認できません」
「まさか、もしや」
とエキセドルの言葉に、ブリタイが尋ねる。
「どうした?」
「これは伝説の反応弾では」
とエキセドルが答える。

ヴァネッサが
「敵の破壊に成功。ほぼ消滅状態です」
と報告する。
「古森君、専用機の予定航路に問題がないか確認して」
「オレンジ中隊は着陸して長距離装備への換装を。大至急で専用機の護衛任務です」
「専用機から離陸を急ぐようにと」
「反応炉出力増大、各セクション状況報告を」
「専用機の予定航路に異常は確認されず」
「シェルター内の民間人から状況説明をと」
「各エアロックの確認を」
とブリッジが忙しくなる。そんな中、フォッカーが
「忙しいところすまんが、VT-102を確認してくれないか」
「少佐、VT-102ですか?」
と言ってオレンジ中隊の換装待ちしていた恭子が端末を操作する。
「VT-102は確認できません」
報告を受けたフォッカーは表情を堅くして
「ではVT-101は」
「VT-101はイベント会場付近に着地しているようですが応答がありません。あっ、VT-102がVT-101の近くで反応しました。どうしますか?」
「繫いでくれないか」
「どうしたんですか、少佐」
「そのなんだ、VT-101とVT-102に乗ってたのは俺がパイロットスーツを着せた民間人なんだ」
「民間人!」
とブリッジで揃って声が上がる。恭子がVT-102に繋げ
「VT-102に搭乗の民間人、至急報告しなさい」
と指示すると
『あんときのおばさん』

「ずいぶんと大きな音でしたね」
「そうだったね。軍人さんもできることしているんでしょ」
とミンメイの問いに、笑いながら三池が答える。
「最低限の修理が終わった。輝くん、メンテナンスキーを刺して操縦パネルの状況を確認してくれ」
「わかりました」
「私も見たい」
とミンメイが向かう。輝が操作をすると操作パネルがモニタスクリーンに切り替わり、女性が映る。
「VT-102に搭乗の民間人、至急報告しなさい」
と指示をするが、輝はとっさに
「あんときのおばさん」
と思わず声が出る。
「あなた」
と恭子が絶句する。
「何、何?」
とミンメイが近寄る。フォッカーが笑いながら
「おい輝、またおばさん呼ばわりはないだろ」
「少佐、なんですかこいつ」
「君も覚えているだろう、アクロバットを披露した横須賀技術学院の一条輝だ」
とそのときミンメイが操作パネルをのぞき込む。
「輝、大丈夫そう?。あれ人が映ってる」
「お主やるのう、墜落してナンパとは」
「ナンパ!」
と恭子が大きく叫び、ブリッジの全員が恭子を見る。
「落ちた先に偶然いたミス・マクロスのミンメイだよ」
と輝が説明する。
「ああ、話題のかあ。しかしミス・マクロスに比べれたら、大橋少尉もただのおばさんかあ」
とフォッカーが笑う。聞こえていたグローバルもさすがに口元が緩む。
「少佐!」
とフォッカーを一喝するとブリッジの空気が重くなり、そのまま
「あなたねえ、民間人が勝手に軍用機に乗って墜落してナンパしたなんて重罪よ」
と輝を責める。未沙が状況を確認するためにVT-102を含めた通信をメインスクリーンへ切り替えると、VT-102側で増えた参加者が
「勝手って、名前も階級章も確認せず乗らないと営巣入りと脅されたんですけど」
「三池さん、なんで?」
「あれ、早瀬中尉?」
と三池と未沙が会話する。
「今の話は事実ですか?」
「通話記録を確認していただけると」
と三池の答えに未沙が端末を操作する。フォッカーが
「おい、輝。三池さんへ、ちゃんと礼を言えよ」
「はい」
「いえ管制とのゴタゴタに巻き込まれるのが嫌だったので離陸させた私の責任ですから」
「同意したのは事実なので。それより先輩、壊れましたけどこれって高いっすかねえ」
「対応したから大丈夫だよ、輝くん。展示のために余計なパーツを付けていたのが影響して一部の配線がおかしくなっただけだから」
「いやあ実機での飛行技術も含めて、本当に優秀な方ですな」
「確認できました。確かに大橋少尉が詳細を確認せず指示を強制したようです。こちらの責任ですが問題になさいますか?」
「ほらおばさんが強制したから巻き込まれたんじゃないか」
と輝が抗議するが、三池が
「いえ、こちらも強く抗弁しませんでしたし現時点では無事ですので結構です」
「三池さん」
「そのおかげでミンメイさんに会えたんだ、それで十分じゃないか。この状況でシェルターに避難するのも難しいでしょうから、機体の利用継続、それに伴う便宜はお願いできませんでしょうか」
未沙が艦長を見る。それを受けて
「マクロス艦長のグローバルです。状況は理解しました。バルキリーの使用は不問とし、そのまま利用してください。ただこちらからの指示を無視なさらないようお願いします」
「了解しました」
「助かります」
と三池とフォッカーが礼をいう。その一方で恭子が
「いいですか輝さん今回は許しますが、今度指示に従わなかったらただではおきませんからね」
と厳しい口調で言う。それを聞いていたミンメイが輝へ小声で
「この手のタイプは面倒だから早めに謝った方がいいんじゃ」
「輝くん、機体を起動させてくれ。バトロイドはワークロイドと同じようなものだ。ミンメイさん、危ないので少し離れてください。あとVT-101側の戦況用リンクを接続させてほしい。このままでは状況が分からない」
と三池が指示をすると、恭子が
「民間人へ戦況を伝えろと?」
「了解しました。貴方がVT-101へ到着次第、手順を指示します」
「お願いします」
と言って三池がVT-102の通信を切る。すると恭子が
「早瀬中尉!」
「こちらがミスしたのだから協力しないと駄目でしょ。許可は出ているんだし。VT-101のリンクは私が対応します。貴方は帰還機を着陸させて再装備の手配を」
と未沙が恭子へ指示する。恭子は不満げな様子を隠さず各機へ
「まずは順次着陸してください」
と高圧的な指示をする。
「おおコワ。了解、おばさん」
とフォッカーが笑いながら返答する。その返答にブリッジに失笑のような声が漏れる。それでメインスクリーンにフォッカーが映っていることに気付き、恭子はメインスクリーンをオフにする。

三池がVT-101のコクピットに戻ると
「三池です、早瀬中尉。VT-101のコクピットに戻りました」
「戦術リンクする手順を説明します。グローバル艦長に許可をもらいましたが確認のため本通話はブリッジ内で共有します」
と言ってから、未沙が手順の説明をする。三池が説明に遅れることなく作業を完了させる。
「これでこちらでも概況が分かるようになりました。助かります」
「こちらでも確認しました」
「できれば笑顔でコミュニケーションしていただけると嬉しいのですが、中尉殿」
「はい?」
「次に何かあるか分からない状況なんです。最後に見る人のが貴方になるかもしれません。ならば少しでも明るい表情で、アホな男どもを気分良くしてもいいのでは。貴方ぐらいの美人なら特に」
とブリッジで共有されているやり取りのため、クローディアが笑いながら会話に割り込む
「大物じゃないの、この状況で未沙を口説くとか」
「そうですかね」
「正しいことを言っているから褒めているのよ。貴方いくつ?」
「23ですが」
「未沙と同じか1つ下かな。未沙、年下と付き合ってみるのは」
「貴方ねえ」
と未沙がクローディアへ驚きの声を上げる。すかさず三池が
「こちらで何かあったときの連絡先は?」
一瞬遅れて未沙が
「大橋少尉とはいろいろあったようですから、まずは私へお願いします」
「プライベートでの連絡もですか?」
と笑顔で三池が答え、すぐに真面目な表情になって
「了解、美人管制官殿」
と言ってメインスクリーンから消える。

「ブリタイ司令」
「なんだエキセドル」
「軌道上および降下部隊への攻撃は反応弾ではないかと」
「何?」
「閃光や光線が確認されず、空間へ大きな歪みが発生しているとなると」
「伝説の反応弾か」
「はい。ですので上空から支援が必要かと」

「輝くん、バトロイドの操作はどう」
「なんとか」
「その言い方だと細かな操作は難しそうだな」
するとミンメイが
「あのう、伯父が心配していると思うのでシェルターに避難したいのですが」
「シェルターは一度ロックされると簡単には開きません。ですからしばらくは一緒に行動してください。輝くん、ガウォークならどうだろう」
と三池が言って、輝へガウォークモードへの変更手順を指示する。VT-102がガウォークになる。
「これなら操作性は飛行機により近いはずだ」
「そうですね」

「アームド2があと15分ほどで残存部隊と合流できます」
「護衛部隊の準備ができました」
と未沙と恭子が報告する。
「シャミーくん、専用機に準備ができたと伝えてくれ。大橋君、専用機の誘導を」
「了解」
と専用機の離陸準備が進む中、突然大きな衝撃がブリッジに伝わり
「きゃあ」
と悲鳴が響く。いち早く立ち直ったグローバルが
「みんな無事か。クローディアくん、キムくん、急ぎ艦の確認を」
と声をかける。
「軌道上からの攻撃のようです」
とヴァネッサが報告する。続けてシャミーが
「専用機からの応答がありません」
「護衛部隊から専用機の爆破を確認との報告が」
と恭子が続ける。
「そんな」
とこずえが呟く。

三池がVT-101で調べ物をしていると
「輝くん、上昇して」
「えっ、はい」
と突然言うとVT-101はミンメイを掴んで上昇する。それにVT-102が続く。その直後にその場所に着弾し会場が破損し大きく吹き飛ぶ。
「輝くん、どうやらマクロスが目標のようだ。少し離れる」
と言ってマクロスから離れるように飛行を続ける。少し離れた場所で
「輝くん、着地してキャノピーを開けて、ミンメイさんを後ろに」
「了解」
と2機がマクロスとは離れた場所に着地する。VT-102がキャノピーを開け、VT-101がミンメイをVT-102の後部座席へ近づける。
「乗って」
と輝が言うとミンメイが後部座席に乗る。ミンメイは乗ると
「はあ」
と大きく声を出す。髪の毛を整えながら
「やだあ、髪の毛めちゃめちゃ」
すると輝が
「命と髪の毛と、どっちが大切なの?」
「えっ」
とミンメイは少し考えた後に
「もちろん、髪の毛」
と答える。その直後に三池が
「輝くん、この辺りはまだまともなようだ。キャノピーを閉じて、待機してくれ」
「三池さん」
「少し状況を確認してくる。この状況でこの島を脱出しようとしても海で何かあればどうにもならない。ミンメイさん、輝くんと一緒に待っていてください」
「三池さん」
と二人の声が揃う。その声を無視してVT-101が上昇していく。

降下している調査ポッドの中で青い風のメンバーが
「地表での調査とは珍しいな」
「先行した調査艦が全滅したんで他に方法がないらしい」
「で調査時間は」
「回収艇が20分後だそうだ」
「また急で時間がないな」
「なんでも状況が変わって至急情報がいるらしい」
「そろそろ地表だ衝撃にそなえろ」

「艦を浮上させます。キム、艦内に浮上を連絡して」
「このまま軌道上から狙い撃ちされるわけにもいかん、頼む」
とグローバルが言うのを聞いて、クローディアが指示をしながら、
「浮上」
と言いながら操作する。マクロスがその巨体をゆっくりと少し浮かせるが、全体のバランスが取れずに調整を続ける。
恭子が
「こんな状態じゃ、いい的じゃない」
と言うと、未沙が
「それよりマクロスの浮上に備えてバルキリーを展開させて。艦外縁部へ宇宙服を準備するに指示して」
「了解」
するとヴァネッサが
「何か異様な反応があります」

「なんだ、酷い有様だな」
と言いながら青い風の4人組が調査ポッドから地表に降りる。
「これは何だ」
と言って倒れた自動販売機を見つける。
「投擲兵器か」
「それにしては小さくないか」
「まずは撮影だ」
カメラで撮影後に
「撃つぞ」
と言って自動販売機を撃つがそのまま壊れる。
「投擲兵器じゃないらしい」
「他にもあるぞ」
「そっちは回収だ」

「どうしよう」
と輝がミンメイが言うが、ミンメイが頼りなさげに小声で
『大丈夫かな』
と小さく呟く。しばらく間があってから輝が
「三池さん遅いなあ」
「三池さんって?」
「ミンメイと同じように今日会ったばっか。そういえばミス・マクロスコンテストはどうだった?」
「観てないの?」
「おしおきで観させてもらえなかった」
「おしおき?」
「最後のループが余分だった」
「そうなの。輝、ループ中にVサインしてくれたよね。操縦上手いんだね」
「見てくれたんだ」
「なら大丈夫だよね」
とミンメイが言った直後に、ミンメイが悲鳴を上げる。輝が前を見ると、明らかな巨人が複数向かってくる。

「なんだあの出来損ないは」
とガウォークを見てワレラが呟く。そのガウォークがいきなり上昇する。
「よく分からんが撮影だ」
とロリーが撮影する。
「これも撃つぞ」
とコンダが銃を構える。

「撃ってきた」
と上昇しているVT-102の中で輝が叫ぶ。自身でも分からない声を上げながら、トリガーを触ってしまう。ガンポッドが4人に偶然向けられ、4人へ弾丸が向かい一人が倒れる。発砲した衝撃でVT-102が姿勢を崩して落下し、マクロスの激突で削られた山裾を滑っていく谷で止まる。

#02 ループ 後書き

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